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長崎とスタートアップな人 Vol.4
本質的なIoTで「におい」のGoogleを作る

株式会社レボーン CEO 松岡 広明氏

略歴
1990年千葉県生まれ、福岡県北九州育ち。2004年ポルトガルで行われた第8回RoboCup世界大会に参加し、僅か13歳で準優勝。長崎大学工学研究科へ進学後、主にドローンなどを使った災害時におけるシステムの研究・開発を行う。大学院在学中に、株式会社レボーンを創業。IoTやハードウェア領域における研究開発や、ソリューション開発を行う。

株式会社レボーン CEO 松岡 広明氏

Q.大学生時の取り組みを教えてください

学生時代は長崎大学生協理事なんかをしてましたね、その他には趣味でホームページ制作をしていて居酒屋や公認会計士のサイト作ってました。
あと、休学してバックパックしました。僕の実家がボンボンで親にプレゼンをして世界一周の資金をもらいました(笑)家族は全員経営者で色々と変わった制度がありました。彼女とのデートのために1200円もらう時でさえプレゼンをします。そんな感じで世界一周の資金をもらう時もプレゼンをしました。とはいえ、大学生になるまで僕は貧乏だと思っていたので今でも5円の誤差で10分ぐらい悩むほど相当貧乏性です。

Q.東日本大震災の時に船で支援物資を届けに行ったというお話を伺ったのですが詳しく教えてください

ある日、大学生協同組合の組織部というサークルの先輩から「船に乗るか?」と言われ。当時は、理由はわからないまま長崎大学の船に乗り、救援物資を運ぶお手伝いをしました。
3月14日から23日までの9日間に渡るミッションでした。その間常に船に揺られる生活をしながらカメラを回してその当時の様子を記録していました。それを元に作った動画が今も長崎大学のHPにあります。動画内には当時の悲惨な情景が克明に記されています。

東日本大震災における長崎大学の全支援活動|長崎大学
http://www.nagasaki-u.ac.jp/ja/earthquake/support/index.html#ship

衣類や医療キット、簡易食器、水などの大量の支援物資に加えいくつかの放射能測定器を搬入しました。

多くの工場、東京電力の石炭積載場、漁業体験施設の全てが被災し人影もありませんでした。信号は全く機能せず、車ガソリンの 調達はほぼ不可能。震度6強の地震と津波被害の実態を目の当たりにしました。

研究開発推進機構FFGアントレプレナーシップセンター(NFEC)画像

Q.株式会社レボーンの事業内容を教えてください

弊社は「におい」に関するAI開発と受託開発を行っていて、においをセンサーで感知して、なんのにおいかを特定する技術を活用しています。食品工場の製造ラインや酒蔵、ホテル、オフィスなどでにおいや香りの課題をお持ちの企業様、PRとして香り×AIを利用したい企業様に向けて、ハードからソフトまでを独自に開発し、提供しています。

        
         

Q.事業を立ちあげた理由を教えてください

RoboCupで世界大会2位になったことがあるくらい小さい頃からロボットが近い存在でした。ロボットは、口と目を意味するマイクとカメラがあります。でも、鼻がないのが小学生の時から不思議でした。ロボットの存在が身近なせいでロボットと人間の違いがわからなくなってきたんです。ロボットはプログラミングするほど頭が良くなるので「自分より優秀だなぁ」って思ってるといつの間にか愛情が湧き始めるんですね。人間もロボットも一緒で雑に扱うと言うことをきかなくなります。

するとだんだん人間が単なる化学反応にしか見えなくなってきて自分は社長という名前の経済活動しているロボットだとしか思えません。自分の存在価値を今でも見出せないので、自分を認めたいし自分を人間だと思いたい。だから人間とロボットの違いを知りたくて究極に人間に近いロボットを作ろうとしてます。鼻が作りたかったわけではなくて鼻を作ることによって人間に近いロボットができてそれによって「人間らしさとは何か?」の答えに近づく気がして。

長崎オープンイノベーション拠点のラウンジNOVE画像

5.最後に今後のビジョンを教えてください

海外に行くと日本の良さ長崎の良さがよくわかってきたんです。僕は日本に生まれたので「日本人である以上は日本を良くしていこう」と思ってます。そういう意味で日本のプレゼンスを上げたい。最近、欧米のビジネスを横展開してコピーするビジネスモデルが多いなと思います。そういうことをすると日本のプレゼンスも下がるしVCのお金も本当に人のためになる企業にいかない。株式会社レボーンの技術は良くも悪くも前人未到の地です。ノーベル賞を受賞する可能性もありますし、僕達のセンサーを使えば日本のプレゼンスも上げられる。僕達がやっていることはリアル(におい)とインターネットをつなげる本質的なIoTだと思っています。なので、私は「におい」のGoogleを作りたいと思っています。